新刊
名門女子大に浪漫歌人の魂魄が。事件はやがて学園を襲う元官僚たちの巨額資金流用問題発覚に。必死で学園を守る教授と学生。現在の天下り問題と日本人論を問い直すポストモダンの問題作。
審美的局面を描いた短編集あるいは中編
かまぐれ
日本優良図書出版会, 2001
父の窯場を継いだ女性の心の転変と陶芸家として葛藤を描く。
別れる季節
日本優良図書出版会, 2001
四季の変化と男女の離合集散を描く話題作四篇。
若者よ明日香の国は
日本優良図書出版会, 2001
60年安保世代の若者の絶望感と時代精神を語る。
父の宿
日本優良図書出版会, 2001
家族に住む家に帰らず愛人と忍び宿に泊まる父の寂寥が切ない。
心は孤独な旅人
日本優良図書出版会, 2001
河内から東京、アメリカと放浪した成秋自身の遍歴。
状況に翻弄される群像を描いた長編
日朝、もし戦えば
中央公論新社, 2003
北朝鮮と戦争になればどうなるか。都内国立の住宅街に住む航空機製造会社の設計課長平山兵三が家族と戦争に翻弄される姿を描く。後半、舞台は神奈川県葉山に移る。日本人の地域エゴと実在の街角やベッドタウンの不条理を戦闘シーンでリアルに描き問題作となりTVに取り上げられる。戦争メカニズムと人間心理の描写力は従来の反戦小説とは比類できない精緻さである。
愚劣少年法
中央公論新社, 2004
長崎を舞台に少年犯罪に被害者と弁護士の苦悩を通じて少年法の愚劣さを訴える社会派小説で主人公が徐々に常軌を逸していく過程は従来のミステリーには見られない心理劇でヘンリー・ジェームスのゴシック性をもつ。
日朝、もし戦わば
ゴマブックス, 2006
3年後の状況にて北朝鮮との対峙にゆらぐ平山兵三の家族。文庫本上下巻。話題作として全国的にひろがり、一時期ベストセラー。新しい視点による戦争文学として話題作となり、『夕刊フジ』で一面トップ全ページに掲載されたことで有名となる。
日本の、次の戦争
ゴマブックス, 2006
憲法改定後、日本は国連の要請で否応なく戦争に突入し、核、細菌、化学兵器の応酬でぼろぼろになる姿を、主人公を内閣法制局長官の立場で描き上げる。うかつな改憲は現行の国際情勢では極めて不利であり危険であることが明瞭に理解でき、評判作となる。
主要学術書
今日のアメリカ作家群像
研究社, 1978
Kurt Vonnegut, Donald Barthelme, John Cheever, Bernard Malamud, Saul Bellow, Richard Brautigunらを論じた本邦初のポストモダン・アメリカ作家論集。
ユダヤ系アメリカ文学の出発
研究社, 1984
braham Cahan, Michael Gold, Sholem Asch, Anzia Yezierska, Samuel Ornitz ら、本邦にはテキストのないユダヤ系アメリカ作家の主要作品を、19世紀末の移民以前の旧世界から論考する。日本には類書のない研究書。
編著
日本語朗読の楽しみ
グラフ社, 2002
晶子、藤村らの浪漫主義詩歌、山頭火、中也、茂吉らの人生詩歌から、谷崎、武郎らの耽美派まで、その文学をどう味読するか、各文学者の人生まで掘り下げて論じる。
日米映像文学は戦争をどう見たか
金星堂, 2002
日米戦争を題材にした映像作品『長崎の鐘』、『きけ、わだつみのこえ』、『雲ながるる果てに』、『真空地帯』、『パール・ハーバー』、『武器よさらば』、『スローターハウス5』などを扱う。成秋は蘇峰徳富猪一郎の忠孝思想を論考、『二十四の瞳』に深い同情を示す。
日米映像文学にみる家族
金星堂, 2002
日米映像作品で家族をテーマにした、『家族ゲーム』、『セールスマンの死』、『クレイマー・クレイマー』、『ああ野麦峠』、『浮雲』、『家族』などを論考。濱野成秋は兵役でつぶれた旧家、職工事情など、強権や弱者を扱い石原莞爾を彷彿する国家論を成す。
アメリカの対抗文化
大阪教育図書, 1995
アメリカ1960年代のベトナム戦争期に同時多発的に起こった公民権運動やウーマンリブ、反戦運動、少数民族問題、ヒッピー文化など、価値観の逆転を論考する。